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京都の旅/皐月 * その2  宇治十帖

旅の朝は、ゆっくり明けつつ。
でも、しっかり行動。

京都駅から、電車に揺られてコトコトと・・・
香しの里へ向かいます。


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目覚めの甘味は、豊かな一日のはじまりです。

本日は抹茶三昧。^^
宇治のお茶屋さんにて、元祖宇治金時と、抹茶わらびもち。

**お茶のかんばやし
  (平等院通り店)
  宇治市宇治蓮華28平等院通り中央(0774-21-2555)







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ずっと、来たいと思っていた場所。
見たいと思っていた、川の流れでした。


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「瀬田の唐橋」、「山崎橋」とともに、日本三古橋と称される「宇治橋」。
中でもこの宇治橋は、大化2年(646年)に架けられた、日本最古の橋といわれているそうです。


なんとも荒々しい、宇治川の流れ・・・。
長い歴史の中では、度重なる自然災害や戦乱により、流失してしまう事もあったそうですが・・・
それでもなお、幾度姿を変えようとも、今の世にまで人々の往来を支え続けるその姿は
この橋が担い続ける役割を、流れる時の思い出を、静かに物語っているようです。



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千年を遥かに越える時の流れに、静かに心を放ちつつ・・・
まず向かったのは、平等院



末法思想が世に広がり、人々の心に漠然たる不安が影を落としていた時代。
当代一の権力者・藤原道長の別荘を、息子の頼道が寺院とし、極楽浄土を祈ったのが 平等院のはじまりです。



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美しい鳳凰堂。

水面に映るその姿は、極楽浄土さながらに穏やかで。
現世的な栄華を謳歌し、享楽に溺れた貴族たちの心にも、きっと、
真の安らぎを与えたのでしょうね。




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悠久の時に思いを馳せながら・・・

散策の合間、合間に、脳の栄養補給?
通りがかりのお茶屋さんで、抹茶ソフトクリームをひとつ。^^



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宇治神社を参拝し・・・



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隣の 宇治上神社 へ。



深緑に抱かれ、厳かな空気を醸す建物。
はっきりとした創建年は分からないものの、平安時代後期(1060年頃?)に建立された、日本最古の神社建築なのだそう。




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境内にある「桐原水」。
宇治七名水のひとつです。


「阿弥陀水」、「泉殿」、「法華水」、「高浄水」、「公文水」、「百夜月井」、
そして、この「桐原水」。
かつて宇治には、美味しくお茶を愉しむための名水が、いたるところに湧き出ていたのだとか。
だけれども、長い時の流れの中で、多くの名水は枯れ果てて・・・
今となっては、この、桐原水だけが残っているのだそうです。



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悲運の皇子・菟道稚郎子とその父応神天皇、兄の仁徳天皇を祀り。
平安の木でつくられた本殿が、凛と立ち尽くし。
滾々と湧き出る清い水辺、そして、欅の古木に見守られ・・・。


古い歴史をまとった神社は、今まさに、目の前に存在していること自体が幻のような・・・。
でも、美しく手入れされたその姿は、奇跡を紡ぐ人々の努力、日常の営みそのもの。

・・・




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宇治散策の締め括りは、三室戸寺 へ参りましょう。



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五千坪ともいわれる庭園に、四季折々の花が咲き乱れる三室戸寺。
私たちが訪れた五月初旬は、山を覆い尽くすつつじの季節です。

平戸つつじ、霧島つつじ、久留米つつじ、etc、・・・
様々な種類のつつじが華を競い合う、まさに「つつじ寺」。


そして・・・



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源氏物語の最終章、「宇治十帖」。
その主人公である薫君と、伯父の八の宮が師事した「宇治山の阿闍梨」は、この三室戸寺の僧侶がモデルになっていると言われています。
境内には、薫君の恋人だった、浮舟の石碑も残されていたりして・・・。


漂う薫り、花の色の移ろいが、幾千の時を越えるような。
現実と空想が交錯する、不思議・・・。



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古今和歌集の昔から、様々な文学作品にも登場する宇治の川。

その流れは、あふれんばかりに激しく。絶え間なく。
美しいけれども、恐ろしくて・・・。
・・・


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その宇治川に・・・
恋の縺れに思い悩んだ浮舟は、ついに、死を決意して向かったというけれど・・・。
・・・


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宇治橋の守り神、橋姫の愛らしさに準えられた、浮舟の異母姉の大君、中君。
でも、橋姫は、悪縁を断ち切る「縁切り神」でもある。
そして、夫に裏切られ、嫉妬に狂う鬼と化したのも、宇治の橋姫。

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絶えること無い情念に苛まれ、死を願いながらも生き延びた浮舟。

その姿は、きっと、私たちの心にある脆さ。
運命に流されることを嘆き、時に自責の念にかられながらも、
いつしか鬼に変わることもあるのかな・・・。


・・・

千年の時の流れに、変わらぬ人の心と、そして、
一輪の花の儚さが心に沁みた
宇治を歩く一日でした。
by nazli | 2011-06-09 04:12 | '11京都の旅
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