旅の朝は、ゆっくり明けつつ。 でも、しっかり行動。 京都駅から、電車に揺られてコトコトと・・・ 香しの里へ向かいます。 目覚めの甘味は、豊かな一日のはじまりです。 本日は抹茶三昧。^^ 宇治のお茶屋さんにて、元祖宇治金時と、抹茶わらびもち。 **お茶のかんばやし (平等院通り店) 宇治市宇治蓮華28平等院通り中央(0774-21-2555) * * * * * * * * ずっと、来たいと思っていた場所。 見たいと思っていた、川の流れでした。 「瀬田の唐橋」、「山崎橋」とともに、日本三古橋と称される「宇治橋」。 中でもこの宇治橋は、大化2年(646年)に架けられた、日本最古の橋といわれているそうです。 なんとも荒々しい、宇治川の流れ・・・。 長い歴史の中では、度重なる自然災害や戦乱により、流失してしまう事もあったそうですが・・・ それでもなお、幾度姿を変えようとも、今の世にまで人々の往来を支え続けるその姿は この橋が担い続ける役割を、流れる時の思い出を、静かに物語っているようです。 * * * * * * * * 千年を遥かに越える時の流れに、静かに心を放ちつつ・・・ まず向かったのは、平等院 。 末法思想が世に広がり、人々の心に漠然たる不安が影を落としていた時代。 当代一の権力者・藤原道長の別荘を、息子の頼道が寺院とし、極楽浄土を祈ったのが 平等院のはじまりです。 美しい鳳凰堂。 水面に映るその姿は、極楽浄土さながらに穏やかで。 現世的な栄華を謳歌し、享楽に溺れた貴族たちの心にも、きっと、 真の安らぎを与えたのでしょうね。 * * * * * * * * 悠久の時に思いを馳せながら・・・ 散策の合間、合間に、脳の栄養補給? 通りがかりのお茶屋さんで、抹茶ソフトクリームをひとつ。^^ * * * * * * * * 宇治神社を参拝し・・・ 隣の 宇治上神社 へ。 深緑に抱かれ、厳かな空気を醸す建物。 はっきりとした創建年は分からないものの、平安時代後期(1060年頃?)に建立された、日本最古の神社建築なのだそう。 境内にある「桐原水」。 宇治七名水のひとつです。 「阿弥陀水」、「泉殿」、「法華水」、「高浄水」、「公文水」、「百夜月井」、 そして、この「桐原水」。 かつて宇治には、美味しくお茶を愉しむための名水が、いたるところに湧き出ていたのだとか。 だけれども、長い時の流れの中で、多くの名水は枯れ果てて・・・ 今となっては、この、桐原水だけが残っているのだそうです。 悲運の皇子・菟道稚郎子とその父応神天皇、兄の仁徳天皇を祀り。 平安の木でつくられた本殿が、凛と立ち尽くし。 滾々と湧き出る清い水辺、そして、欅の古木に見守られ・・・。 古い歴史をまとった神社は、今まさに、目の前に存在していること自体が幻のような・・・。 でも、美しく手入れされたその姿は、奇跡を紡ぐ人々の努力、日常の営みそのもの。 ・・・ * * * * * * * * 宇治散策の締め括りは、三室戸寺 へ参りましょう。 五千坪ともいわれる庭園に、四季折々の花が咲き乱れる三室戸寺。 私たちが訪れた五月初旬は、山を覆い尽くすつつじの季節です。 平戸つつじ、霧島つつじ、久留米つつじ、etc、・・・ 様々な種類のつつじが華を競い合う、まさに「つつじ寺」。 そして・・・ 源氏物語の最終章、「宇治十帖」。 その主人公である薫君と、伯父の八の宮が師事した「宇治山の阿闍梨」は、この三室戸寺の僧侶がモデルになっていると言われています。 境内には、薫君の恋人だった、浮舟の石碑も残されていたりして・・・。 漂う薫り、花の色の移ろいが、幾千の時を越えるような。 現実と空想が交錯する、不思議・・・。 * * * * * * * * 古今和歌集の昔から、様々な文学作品にも登場する宇治の川。 その流れは、あふれんばかりに激しく。絶え間なく。 美しいけれども、恐ろしくて・・・。 ・・・ その宇治川に・・・ 恋の縺れに思い悩んだ浮舟は、ついに、死を決意して向かったというけれど・・・。 ・・・ 宇治橋の守り神、橋姫の愛らしさに準えられた、浮舟の異母姉の大君、中君。 でも、橋姫は、悪縁を断ち切る「縁切り神」でもある。 そして、夫に裏切られ、嫉妬に狂う鬼と化したのも、宇治の橋姫。 絶えること無い情念に苛まれ、死を願いながらも生き延びた浮舟。 その姿は、きっと、私たちの心にある脆さ。 運命に流されることを嘆き、時に自責の念にかられながらも、 いつしか鬼に変わることもあるのかな・・・。 ・・・ 千年の時の流れに、変わらぬ人の心と、そして、 一輪の花の儚さが心に沁みた 宇治を歩く一日でした。
by nazli
| 2011-06-09 04:12
| '11京都の旅
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