マルタ旅行*その1 到着 ~ 時のとまる町へ

そもそも、夕方にはマルタ入り出来るはずだったフライトが、2時間余りに及ぶディレイの憂き目を見たこの日。
思いもかけない長旅の後。ようやく空港に降り立った私たちを迎えてくれたのは、まだまだ明るさが残る初夏の空。 でも。
時計の針は、とうに7時を回っていたのでした。


すみやかに両替をすませ、出口前に待機しているタクシーに乗り込み。
マルタで最初の目的地は、島のほぼ中央。今夜からの滞在先になる、イムディナの町へと向かったのです。

よく整備された道路を、威勢良く飛ばしてくれるドライバー。
どこまでも広がる乾いた大地、時おり姿を現すはちみつ色の家々。
前方を行く車に近づきすぎるたびに、少しばかりヒヤヒヤするものの。自然と胸が高鳴ります。
そうして、束の間のドライブ気分を楽しみながら。
町に到着したのは、長い夏の陽も そろそろ暮れ始めようとしている頃でした。




イムディナへの入口。
町を取り囲む城壁に、ぽっかり口を開くメインゲート。


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マルタの中の古都、イムディナは、環境保護の観点から、住民以外の車での乗り入れが厳しく制限されているそうです。
翌日からレンタカーを手配していた私たちも、ホテル敷地内のパーキングを利用することは叶わず。ホテルからはやや離れた、城壁外のパーキングを利用することになっていたのでした。



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そんなわけで、タクシーが入ってこられるのも、メインゲートをくぐってすぐの広場まで。
ここから先は、歩いてホテルへと向かいます。



意外なほど人気の無い、石造りの町。
荷物を受け取り、通りを圧迫するようにそそり立つ石の壁に囲まれた、その瞬間。
なんとも言えない、不思議な既視感が私たちを包んだのでした。


右を見ても、左を見ても。どこまでも霞んで続く、薄らとした色の町並み。

これは、どこかで見たことがあるような・・・。
どこか他の、ヨーロッパの街? いいえ。
古い映画の一こまかしら?
それとも何か、小説の一節にでも登場したような?・・・。

まるで映画のセットのようにも思える、古めかしい中世の町並み。
目の前に続いているという事実さえ、何故かしら現実味が感じられないような・・・。

けれどもそれは、記憶のページをめくっているわけでも、ましてや何かを模倣した物などでも、決して無く。
現代の片隅に確かに息づく、人々の営みだったのです。



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細い路地をひとつ、ふたつ、曲がり進み・・・。
夕陽に照らされた袋小路に、突如姿を現したカフェのパラソルの、そのまた奥。
目指すホテルはひっそりと、本当にひっそりと佇んでいたのでした。

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今回の滞在先に選んだ、ザ・シャラ・パラス・ホテル。
客室数わずか17室、17世紀の貴族の館を改修したというプチ・ホテルです。
さりげない洗練をまとった外観からは、そのまま、この町の歴史の深さを感じさせてくれるような。



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チリン、チリン!という軽やかなベルの音とともに、ゆっくり開く扉。そして。
扉の向こうに広がる空間からあふれ出す、重々しくも艶やかな空気・・・。


アーチ型の梁が続く高い天井。
そこ、ここに掛けられた、古めかしい絵画の数々。
ゆるやかな曲線を描く家具、美しいアラブの模様の絨緞、・・・。


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エントランスの隣には、秘密の小部屋のようなレセプション。
穏やかな光を放つランプや、年代物のテーブルに添えられた筆記用具など。
ちょっとした設えにも、長い時を経た美しさが漂います。


聖ヨハネ騎士団が、この地にやって来る以前。はるか遠い中世に、マルタの首都だったイムディナの、その栄華。
ホテルを満たす優雅な空気に、心奪われ、暫し言葉を失うときが流れるのでした。


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にこやかなレセプショニストの女性に案内され、ガラスで覆われたパティオへ。
鬱蒼と生い茂るオリーブの木。
かつては、ここに降り注ぐ陽光とともに、町に流れる風をも感じられたのでしょうね。


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ウェルカムドリンクは、マルタの国民的飲み物だという、キニー。
甘いような?苦いような?
なんとも不思議な、でも、気が付いたら癖になっていそうな味。




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エレベーターホールに鎮座する、古い教会の懺悔台。
一体いつの時代のものなのかしら?

壁一面に飾られているのは、代々の領主たちの紋章。
数百年の時を超え、今なお祈りを捧げるものは何?・・・。


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ホテルに流れるゆるやかな空気に、まるで、私たちの時間までも 止められてしまったかのような・・・。


・・・さて。
キニーの冷たさで旅の疲れを拭い、彷徨う心を連れ戻したら。
夕食までのひと時は、ゆっくり部屋で過ごすとしましょう。

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by nazli | 2007-06-19 04:16 | その他海外の旅
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