週末から週明けにかけて、アンカラへ行ってまいりました。 今回のメインイベントは、アンカラ・エクスプレス。 イスタンブール~アンカラ間を、約9時間半かけて走り抜ける 寝台特急です。 これに乗ってみたくてわざわざ行くことにした、と言っても過言ではありません。(笑) 出発はここ、アジアサイドはカドゥキョイ、ハイダルパシャ駅。 周辺は、青空市やロカンタ(大衆食堂)がひしめく、活気に満ちた港町です。 夜10時。 時折、売店の売り子の呼び声が響く以外は、思いのほか静かな構内。 美しいステンドグラスに挟まれた電光掲示板に、今夜の行き先を探します。 ドイツの様式を取り入れ、設計されたという壮麗な駅舎。 近代化に向けて疾走したトルコの姿が偲ばれます。 イスタンブールにある大きな駅をいくつか思ってみると。 まず思い浮かぶのが、かのオリエント・エクスプレス終着駅である、ヨーロッパサイドのシルケジ駅。 そこが西洋への発着点であるとすれば、アジアサイド最西端であるハイダルパシャ駅は、東洋が果て、振り返りまた広がる地。 ふたつの想いが交錯する駅舎は、下町情緒溢れる街並みにあって、欧風の威容を呈しているのでした。 アラビア風のアーチが美しい。 静謐な空気が流れるのは、深夜に近いせい? あっという間に、出発時間も間近。 慌てて列車に乗り込みます。 客室は全て、2名1室のコンパートメント。(もちろん、1名で使用することも可能です。) 荷物を置いたら、まずは食堂車へ向かいます。 深夜の便では、しっかりとした食事をとる人はあまり居ない?メゼ(前菜)をつまむくらいかしら。 隣の席のおじいさん、今夜のお食事はラクと白チーズ。 「メロンは無いか?」と尋ねるも、あいにく用意されていない模様。 アニス風味の強~いお酒、ラク。 それを楽しむには、白チーズとメロンのおつまみが正統派、というのにね。残念でした。 我が家も寝酒にワインを頼んで。 コトン、コトンと揺られながら、街の灯が遠ざかって行きます。 客室に戻ると、椅子が折りたたまれ、ベッドが準備されていました。 狭いながらも、清潔なシーツに満足。 顔を洗って、歯磨きをして。コトン、コトンと揺られながら、アジアの夜が更けて行くのでした。 * * * * * * * * * ゆりかごに揺られるように、いつしかグッスリ寝入っていました。 薄ら明るくなり始めた窓外に、ぼんやり目覚め始める頭。 流れる景色、心地よい揺れにまどろんでいると、「チリンチリン!」という軽やかなベルの音、思わずハッ! 寝過ごす人が居ないよう、ベルを片手に、車掌さんが車内を知らせ歩いているのでした。 お仕事、ご苦労様です。 寝覚めのチャイをいただきに、食堂車へ。 食器はもちろん、シュガーもTCDD(トルコ国鉄)仕様。なんてポップで可愛い包み! 薄靄に包まれたアナトリアの大地に、朝の訪れ。 どこまでも続く草原に、遠く連なる荒涼とした山々。 もうアンカラは目の前です。 朝8時。 あっという間の旅を終え、トルコの首都・アンカラに到着。 大きな荷物を抱えたお客さんたち、今日のご予定はどちらへ? 売店に並ぶ、ほかほかのパンや、ナッツ。どれもトルコの人たちの大好物です。 朝食がわりに、ポアチャ(写真のパン)をひとつ。 ずんぐりと、垢抜けない見てくれ。でも、ポクポクとした素朴な風味が懐かしく。 何故だかほっとする味わいに、いつしか虜になっている日本人の私。(笑) 巨大な吹き抜けの駅舎を出ると、朝の冷たい空気が肌を刺します。 今日のアンカラは曇り空。 イスタンブールとは違った整然とした空気に、ぴりりと身が引き締まる瞬間でした。
by nazli
| 2006-05-03 13:43
| トルコの日常
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